Cliff Nobles & Co. - Love Is All Right / The Horse

アラバマ出身のR&B～ソウル・シンガー／クリフ・ノーブルズが、1968年にPHIL-L.A. OF SOULレーベルからリリースしたシングルです。

フィラデルフィアのVIRTUEスタジオ録音による作品で、この裏面のヒット・インスト曲「ザ・ホース」のバッキング・トラックをオケに、辛口ボーカルで歌い上げる60's ソウル・ダンサー！後述しますが、「ザ・ホース」はインスト曲だったのでノーブルズは歌手としては評価されませんでしたが、このトラックで聴けるノーブルズのボーカルはディープで味わいのある大変素晴らしいものでした。

裏面がチャート作品で、ビルボード・ホット100チャートで最高2位、ビルボード・R&Bチャートで最高2位を記録しました。「ザ・ホース」は、シングル「Love Is All Right」のB面としてリリースされ、その曲の単なる穴埋めとしてカップリングされたインストゥルメンタル・バージョンでした。

アーティスト名はクリフ・ノーブルズではありますが、このトラックでノーブルズはまったく演奏していません。さらに、プロデューサーのジェシー・ジェームスもセッションには顔を出していません。バッキングは後にMFSB（Mother Father Sister Brother）として知られるようになるインストゥルメンタル・グループが演奏しています。


MFSB

この録音ではマイク・テリーがバリトンサックスを演奏しました。トラック自体は、さまざまな楽器によって演奏されるシンプルで変化のないリズミカルなラインを特徴とし、メロディックで前触れのあるホーンセクションのラインで終わります。ファンキーなリズムに、火を吹くホーン、メロウなギターを主軸とした名演です。

タイトルは、1950年代の後半から続く動物ダンスの流れを汲んでおり、「馬」踊りとして設定されたダンス・クレイズ・クラシックスです。本シングルが大ヒットした為、ノーブルズはテレビの音楽番組にも出演しましたが（当ページの上部にYouTubeリンクを貼っております）、本作がインスト曲だった為に、不本意ながら「馬踊りを踊っているだけ」の姿を披露するだけのシュールなヒットとなり歌手としては評価されず不遇でありました。

アーティスト【クリフ・ノーブルズ】

ソウル・シンガー。フィリー・ソウル。1941年アラバマ州グローヴ・ヒル生まれで、2008年に死去。高校時代には地元でザ・デルロイズ（The Delroys）というR&Bグループに在籍して活動した。高校卒業後にフィラデルフィアに移住し、1966年にATLANTICレーベルと契約して歌手デビューした。1967年に、もう一枚シングルを残しているもののどちらも不発。その後プロデューサーのジェッシ・ジェームスにデモ録音を送って気に入られたのがきっかけで、フィラデルフィアのPHIL.A. OF SOULレーベルと契約。1968年にインスト曲の「The Horse」がヒットしたが、これは彼のボーカル・トラックではなくインスト曲だった。続く「Horse Fever」と「Switch It On」の計3曲がヒットした。