Various - Be My Guest / Way Down Yonder In New Orleans + 10 Songs 2 EP (w/PS)
1950s USA Original 45rpm Record [PROMENADE/A 55-11]
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1950年代にPROMENADEというノックオフ・レーベルからリリースされた45回転7インチ・6曲入りEPシングル2枚組です。このレーベルの親会社名はシンセティック・プラスチッック・カンパニー(Synthetic Plastic Company:合成樹脂カンパニー)で、1920年代後半にダニエル・ケーセンによって衣料品業界向けのプラスチック・メーカーとして設立された大手です。1949年以降は多くの子会社が設立され、子供向けのレコードや低予算のアルバムなどを制作しました。現在はインスパイアード・スタジオ(Inspired Studios)という会社名で運営されており、ドナルド・ケーセンが代表を務めています。
当時のヒット曲を、独自のバンドの演奏と無名の歌手のボーカルで、“それなりに聴ける”レベルでカバーしたバージョンを収録しています。いわゆる「パチもん」で、英語では手頃な廉価盤を意味する「バジェット(Budget)・レコード」や、コピー商品を意味する「ノックオフ(Knockoff)・オールディーズ」などと呼ばれています。
バジェットと言うのは、レコード・レーベル自体は非正規品であっても、あくまでオリジナル・バージョンが収録されていることが前提なので、レーベルもアーティストも怪しげなレコードのことを、当店では便宜上ノックオフ・オールディーズに統一しております。
ノックオフ・オールディーズのレーベルで代表的なものには、ニューヨークのBELLレーベル(のちにMALA/AMYを含む普通のレーベル運営に路線変更をして成功する)や、ナッシュヴィルのHITレーベルがあります。
このレコードに関しては、当時、アメリカの田舎のローカルな個人経営によるディスカウントストアの一角などで安価に販売されており、「最新の流行曲をまとめて聴けるなんてお得だね♪」と思って、このレコードを買い物かごに入れた人達が、帰宅して聴いてみると「なんかちがう」となった図式が伺われます。日本でも昔、ホームセンターや怪しげなディスカウントストアなどで「アニメ・ソング集」を装ったパチモンのカセットテープが販売されていましたが、あれとまったく同じ感覚です。
↑主に70~80年代に売られていた日本のパチモン・アニメ・ソング・カセット・テープの画像・関連記事『昭和のアニメソングの一ジャンル「パチソン」ってご存知ですか?』
ですので、粗末に扱われる運命にあったレコードであることは容易に想像出来るので、21世紀となった今では、ある意味でレア盤の一種でもあると言えます。もともとのプレス枚数もそんなに多くなかったはずです。アメリカ買い付け時にも滅多に見かけませんし、見つけてもボロボロの状態のものがほとんどです。今回、入荷しているものは、曲の内容や再生状態を厳選して仕入れてきております。
長々と書きましたが、この手のレコードの魅力はこの盤でしか聴けない、B級以下のチープで怪しげなバージョンが文字通り目白押しですので、珍盤マニアの方などにはぜひご注目&深堀していただきたい内容であります。コピーライトに関する版権の所在も不明なものばかりなのでリイシューされる可能性も低いでしょう。ですので、音源的な希少価値が圧倒的に高いものばかりであると言えると思います。
この盤は試聴音源でお聴きいただけるバージョンが特におすすめで、選曲は Be My Guest (Fats Domino) → Way Down Yonder In New Orleans (Freddy Cannon) → You've Got What It Takes (Marv Johnson) → Running Bear (Johnny Preston) → The Big Hurt (Toni Fisher) の順番で録音いたしております(※←カッコ内はオリジナル・アーティスト名)。オリジナル・バージョンと比較して愉しむのも良し、コスモス(玩具メーカー)のような怪しさを訝しがって面白がるのも良しな珍盤です。本盤の目玉はファッツ・ドミノの「ビー・マイ・ゲスト」、フレディー・キャノンの「ウェイ・ダウン・ヤンダー・イン・ニューオーリンズ」他で、LPアルバム並みのボリュームで全12曲収録された内容です。
<収録曲>
11-1A-1. It's Time To Cry - Richard Deane
11-1A-2. What About us - Glitters
11-1A-3. We Got Love - Andrew Jacks
11-1B-1. Mack The Knife - Jimmy Grant
11-1B-2. Among My Souveniers - Dottie Gray
11-1B-3. You've Got What It Takes - Jennie Feathers
11-2A-1. Why - Al Freed
11-2A-2. Way Down Yonder In New Orleans - Pat Vale
11-2A-3. Do-Re-Mi - Jack Gray
11-2B-1. The Big Hurt - Donnie Rounds
11-2B-2. Be My Guest - Sugar Beat
11-2B-3. Running Bear - A. Starr
オリジナル・ピクチャースリーヴ付きです(開口部分に経年劣化による痛みあり)。
コンディション:VG++/VG++//VG++/VG++ マトリックス番号:A-55-1A / A-55-1B / A-55-11-2A / A-55-11-2B |
【ノックオフ・オールディーズ盤の未来】 余談ですが、上記コスモス社のヒット商品である(と堂々と言えるものではないと思いますが...)『ロッチ』に関する文春オンラインの記事『1枚30万円も!ニセビックリマンシールの世界「あのロッチは今!?」カプセルの中に入っていた懐かしい「罠」の世界』が興味深かったのでご紹介を。記事の中に『「子どもはニセモノが嫌い」。だから貴重に』とありますが、アメリカのノックオフ・オールディーズ盤もまさにそれであるなーと感じました。個人的な体験でも、ロッチのシールは保存・保管が目的ではなく、ノートや箪笥に貼ったり、どちらかというと消耗品・不用品として扱った記憶があります。5枚で百円と安価に売られていたパチもんですからね。しかも誰も本物のビックリマン・シールのコレクションには加えたくなかった代物。なので現在でも生き残っている物は希少で、モノによってはオークションで数十万円の値段が付く場合があるというのも納得です。ですので、ノックオフ・オールディーズ盤も、今後このようにプレミア価格が付く可能性があるのではないかと見込んでいます。特に当時を知るアメリカ人のノスタルジーが喚起されてノックオフ・オールディーズ盤を収集し始め出したら、日本での上記のような「ロッチ再評価現象」みたいなことが起こっても不思議ではないな。と思っています。 |