Bill Haley & his Comets - Crazy Man, Crazy / Whatcha Gonna Do

ロカビリー～ロックンロールの原型を作った偉人とされ“ロックンロールの父親”という愛称でも親しまれるロックンロール・シンガー、ソングライター、ギタリスト／ビル・ヘイリーが、1953年にESSEXレーベルからリリースしたシングルです。ビルボード・ホット100チャートで最高12位、USキャッシュボックスのチャートで最高11位し、出世作となったグループ初期の代表作品です。

ヘイリーが書いた曲で、1967年のヘイリーへのインタビューで本作品について話した内容によると、学校のティーネイジャーのダンスパーティーで演奏していた時に聞いた、「Crazy Man Crazy」、「Go, go, go, everybody!」といったフレーズが人気で、そこから着想を得て作曲をしたという逸話があります。音楽的には、R&B、カントリー、ポップ・ミュージックの複合体で、「最初のロックンロール曲」のひとつとしてみなされています。

全国規模でテレビの電波に乗った（CBSのアンソロジー・シリーズの一部である『Glory in the Flower』のサウンドトラックで使用された）初めてのロックンロール・ナンバーとしても知られており、ビル・ヘイリーの名を全国区にしただけでなく、彼のサウンドが一気に影響力を持つ事にもなった重要作品です。

同年にラルフ・マーテリーによるカバーがビルボード・ホット100チャートで最高93位に達しています。



歌詞に出てくる「Go, go, go, everybody!」というキャッチフレーズは、R&Bグループのザ・トレニアーズの「ゴー、ゴー、ゴー！」にも影響を与えてと言われています。



R&Bサックス奏者のビッグ・ジェイ・マクニーリーは「ナーバス・マン・ナーバス」というアンサーソングを発表しており、曲中で「Crazy Man, Crazy」と「go, go, go, go, go, go」のリフを聴く事が出来ます。



裏面もヘイリーが書いた曲でロカビリーとなる2サイダー盤です。

アーティスト【ビル・ヘイリー】



ロカビリー～ロックンロール・シンガー、ソングライター、ギタリスト。1925年ミシガン州ハイランドパーク生まれで、1981年に死去。1946年にカントリー奏者としてキャリアをスタートさせ、1948年にビル・ヘイリー＆ザ・フォー・エイセズ・オブ・ウェスターン・スウィング（Bill Haley and the Four Aces of Western Swing）名義でCOWBOYレーベルに初録音。1950年にはジョニー・クリフトン＆ヒズ・ストリング・バンド（Johnny Clifton and His String Band）名義でCENTERレーベルに録音。同1950年にビル・ヘイリー＆ザ・サドルメン（Bill Haley & the Saddlemen）名義でKEYSTONE, ATLANTIC, COWBOY, HOLIDAY, ESSEXレーベルに録音（リノ・ブラウン＆ハー・バッカルーズ（Reno Browne and Her Buckaroos）名義の録音もあり）。1952年にグループ名をビル・ヘイリー＆ヒズ・コメッツに変更し、1953年にESSEXレーベルに録音した「Crazy Man, Crazy」がヒットを記録。1954年に大手DECCAレーベルに移籍し発表した「Rock Around the Clock」は、翌1955年に公開された映画『Blackboard Jungle（邦題：暴力教室）』のテーマ曲として話題となり大ヒットを記録し、ロックンロールのブームを決定的なものとした。その後も同レーベルにて「See You Later, Alligator」や「Razzle-Dazzle」等、多くのヒットを放ち、1956年には自身らも出演した映画『Rock Around the Clock』と『Don't Knock the Rock』の2作が公開されている。カントリーミュージックに、ジャンプブルースやR&Bの要素を加えた新しい音楽を生み出し、ロカビリー～ロックンロールの原型を作った偉人の一人である。それ故に「ロックンロールの父親」として親しまれ、エルヴィス・プレスリーと並び、ロック史において最重要視されている。1960年代以降は主にヨーロッパやブラジル、オーストラリアなど海外を中心に活動し、1970年代にはアルコール中毒に陥って活動が困難となり、やがて脳腫瘍を患い1981年に死去。他界後の1987年にロックンロールの殿堂入りを果たした。